子どもが5才の時、某音楽教室に行かせた。私は音楽畑の人間だ。自分の子どもにも音楽の才能があり、それを開花してほしいと願っていた。だから、近くのピアノ教室ではなく、少し遠くの音楽教室へと足を運んだ。どんな風に教えてくれるのだろうか??どんなことを教えてくれるのだろうか?わくわくして見に行った。
わが子は、オルガンをうれしそうにさわっていた。私は後ろでその様子をにこにこしながら見ていた。レッスンが始まった。もう一人男の子がいる。いかにもお坊ちゃんて感じ。おしゃまな女の子もいた。先生は楽しそうに教えてくれたが、わが子は落ち着かなかった。「集まりましょう。」と言って、集まらせようとしても、あっちこっち行ったり、せっかくそばに行っても話を聞いていなかったりした。
次第に、先生の顔は曇ってきて、わが子はいつも注意されるようになった。「は~」とため息をつきながら。わが子はそれにまるで知らん顔で、音を勝手に出したり、歩き回ったりした。先生にとってはお荷物だった。私は心の中で、(息子は音楽が好きだし、悪気があってしているのではない。もっと上手に扱ってくれたらいいのに。)と思った。
本当に上手に対応してくれる先生だと、息子は生き生きと活動した。確かにやんちゃで一筋縄ではいかない子どもだったけれど、もっといい対応の仕方があったに違いないと思う。結局、音楽教室はやめることにした。